文化デリックのPOP寄席

ポップ・カルチャー・アワード2006 授賞式レポート

2007.03.03(sat) @青山ブックセンター本店(カルチャーサロン青山)

2006年より創設された「ポップ・カルチャー・アワード」。昨年に引き続き、授賞式が開催されました。
ポップ・カルチャー・アワード2006とは、文化デリック(川勝正幸+下井草秀)が、菊地成孔(音楽家・文筆家・音楽講師)、湯山玲子(クリエイティヴ・ディレクター)、安田謙一(ロック漫筆家)の3氏を特別選考委員として招聘し、2006年の【映像】、【出版】、【音楽】を振り返り、粋な議論の果てに決定した賞?各部門の年間BEST1のことです。
選出基準は、価値観の座標軸を帰る強さを持つ作品かどうか、あるいは、大量に売れてパラダイムの変換を起こすパワーがあった作品かどうか、などなど。
2006年12月に行われた選考会では、映像部門:クレイグ・ブリュワー監督作品『ハッスル&フロウ』(配給:UIP映画)、出版部門:中山千夏著『妖精の詩』(飛鳥新社)、音楽部門:流線形『TOKYO SNIPER』(ハピネス)が1位に選出。
授賞式当日は、各部門の受賞者である、中山千夏さん、流線形のクニモンド瀧口さん、クレイグ・ブリュワー監督の代理として、UIP映画宣伝部プロダクトマネージャー、清水彩香さんにご来場いただき、アワード主催者の文化デリックから表彰状が授与されました。

映像部門BEST1 クレイグ・ブリュワー監督作品『ハッスル&フロウ』
・タランティーノ以降の、気が利いたセリフの応酬を併せ持った、バランスよく一般性も強い、稀有なヒップホップ映画なんです。90年代アメリカ映画の財産がこんな所に結実するかあ。と思いました。(菊地成孔)
・後半の物語には、俗世間に揉まれた大人にしか分からない人生の苦味がある。またダイアローグがいいんです。ある場面で発せられた気取り気味の台詞が、後の場面では別の登場人物により別の命を吹き込んで口にされる。ものすごく気が利いていますよ。(下井草秀)

UIP映画担当の清水彩香さんに、クレイグ・ブリュワー監督に代わって、喜びの言葉をいただきました。


出版部門BEST1 中山千夏著 『妖精の詩』(飛鳥新社)
・『電車男』以上にネットの中のリアルライフを描いた傑作だと思います。
・ネット上の文章から書き手がどういう人物か推測していく。ミステリというかエンターテインメント性も抜群の読み物です。(安田謙一)
・彼女は、本来、文学の人だから、とまどいながらも、ネットならではの方言をおずおずと習得し、使いこなしていく様をなんともスリリングに描写していく。(川勝正幸)

ネットゲーム内での恋愛模様をリアルかつ活き活き描いた著者中山千夏さんが登場。本の内容からご自身の近況まで、チナチスト垂涎のお話をうかがいました。


音楽部門BEST1 流線形『TOKYOSNIPER』(ハピネス)
・ピチカートみたいな、高踏的なDJ感覚でもない。スタジオ・ミュージックをロックの魂で再現。でもスタイルカウンシルみたいな斜に構えた批評精神でもない。中世フレスコ画の修復師みたいな愛と執念。結果ハウスやパンクみたいな初期衝動すら感じる。(菊地成孔)
・フェンダーローズ、クラヴィネット、それからシンセにしても、聴く側の快感のツボをいちいち押してくるんですね。耳馴染みのあるフレーズやコンストラクションの引用も心憎いばかり。(下井草秀)

70年代末のシティ・ポップスやドライブ・ミュージックをすさまじい執念と集中力で現代に蘇らせた流線形のクニモンド瀧口さんが授賞式に参加。文化デリックの2人と制作秘話をまじえながら、自身の作品について語っていただきました。



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