文化デリックのPOP寄席

第0回 2005年2月 ゲスト: 堀雅人(放送作家/ライター)

ECD『FINAL JUNKY』 CD:ECD『FINAL JUNKY』

今なお進化し続ける日本ヒップホップ界のオールドスクールの1人が、『失点In The Park』に続いて送り出した完全自主制作アルバム第2弾。ほぼ同時期にリリリースされたイリシット・ツボイ、久下惠生とのライヴを収録した『session impossible』も注目すべき1枚。

川勝:

ECDの自主制作盤としては、2枚目のアルバムとなる『FINAL JUNKY』。今回は手焼きのCD-Rじゃなくて、工場でプレス。ジャケットも4Cで印刷されています。もちろん、これまでのデザインもかつこよかったけれど。アートワークは、ずっとECDを手がけている元イルドーザーの石黒景太くんです。サンプリング・スポーツの意気を感じさせる魂に残るトラックと、キャッチーな言葉の繰り返しが耳に残るライムは一貫しています。テレビや新聞や雑誌などで見聞きする社会の状況を机上で評論するのではなく、ECDが路上目線で思索した過程と結論がひりひりとラップされています。中でも、「いっそ東京を戦場に」は問題作。


下井草:

昔は、「東京ってもうダメなのかな」とラップしていたんですけどね。もはや事態はここまで来ちゃったのかという感じですね(笑)。


川勝:

チェルノブイリ原発事故が起こったのが86年。ECDがラッパーとしてデビューしたのが87年。当時から歌っていた「ピコ・キューリー」をメジャーフォースから12インチ・シングルで出したのが89年。ECDの作品を追っていけば、ここ15年の東京で暮らす人々の不安と怒りのドキュメンタリーになると思う。


下井草:

ECDって今何歳ですか? 40歳くらいですよね? そもそも、ファーストアルバムの時、30歳超えてましたもんね。


川勝:

そう。『ECD』(92)が32歳。でも、1960年生まれだから、今年でもう45歳ですね。ECDは劇団経験もあるし、パール兄弟のPVで踊ってたリーマンズにも在籍という過去もあって、芸歴が長い。


下井草:

縮小再生産にならず、どんどん先鋭化しているところがすごいですよね。