CD:サンボマスター『サンボマスターは君に語りかける』
(Sony Music Records)
その堂々たるタイトルにちょっと驚いた『新しき日本語ロックの道と光』に続くロックトリオのセカンドアルバム。映画『恋の門』主題歌「月に咲く花のようになるの」収録。昨今、これほど好き嫌いがはっきり分かれるバンドも珍しいといえよう。
サンボマスター、僕は普通に好きですね。ヘビーリスナーというわけではないんですが、いいバンドだなという感じで。じゃあ何が面白いかっていうと、普段、それほどロックに興味ねえだろっていうオヤジたちが異常に反応してるんですよ。これが現象としてなんか面白い。日刊スポーツで毎週月曜日に高田文夫さんがコラムを連載していて必ず読むんですけど、高田さんが、「サンボマスターがいれば日本のロックはもう大丈夫だ」みたいなことを書いていて、だいぶうかつな物言いではないかと思ったり(笑)。
末井(昭)さんも、絶対「毎日」末井日記でサンボマスターには触れていますね。あと、銀杏BOYSも。
マジっすか。
僕にとってのロックスターの理想は相変わらず、皮ジャンなり、バイクなり、化粧なり……がキマる、つまり、自分にないものを持っている男たちなんだけど(笑)。
大槻ケンヂのお父さんみたいですね。「お前もロッカーだったら、皮パン買え」と言って、皮パンを買ってくれたというちょっといい話があります。
確かにいい話だ(笑)。
横山剣さんのように、やっぱり、かっこよくあって欲しいニャー。「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」(©早川義夫)を経て、そこへ戻りました。
あとは、林家こぶ平が林家正蔵の名跡を継ぐのが決まったとき、どっかのスポーツ紙で小朝がこぶ平にエールを送ってたんですけど、そのコメントの最後に「サンボマスターの曲名を借りるならば」みたいなこと言ってて(笑)。小朝までサンボマスターに引っかかったかと(笑)
恐るべし! オヤジ殺し(笑)。
そこまで行くと本人たちに損にならないかとちょっと思いますけどねえ。
モテたくて、バンドじゃなかったのかな。ここまでくると、もはや“サンボ現象”。
曲を聴いてると、90年代っぽい感じもするじゃないですか。
うん。コード進行なんかは、オリジナル・ラヴに近い洗練されたものがあるんだよね。
イイ顔のオヤジ(©根本敬)ならぬ、ブサイクという名のイイ顔のヤング?
ということは、ブサイクであることが一番のアイデンティティなのか。
電車男的な感じで。
お金もない、地位もない30歳以下の人たちにとって、日常に機能する音楽になってる気はしますね。
お、「SPA!」的な物言い(笑)。
説教ラップと同じ文脈なのかな。
その文系みたいな(笑)。そういうメンタリティーはすごく汲み取ってる感じはしますね。決してマイナスの意味じゃなくて。
本人たちがそういうつもりかどうかは別としてね。
僕は、松尾スズキさんの初監督作品『恋の門』のプレスや劇所用パンフレットを編集した時に、主題歌に起用されたサンボマスターを初めて聴いたんです。でも、グッとはこなくて。みうらじゅんさんがサンボを好きだというのも、DT的な流れで考えれば引っかかる部分があるのは分かるんだけど、彼らが歌っている内容に関して言えば、『みんなの保健体育』を書いた人が好きになるようなものではないような気がする。やっぱり、会うと可愛いのかな?
一度、僕が構成を手がけているみうらさんのラジオにゲストで来たくれたんですけど、山口さんのトークは身も蓋もないくらい高田文夫直系(笑)。
落語も好きらしいね。志ん生や志ん朝、談志が好きだって言ってた。安藤鶴夫の本も読んでるみたいよ。
でも、作品にはまったくそういう色は持ち込まないですよね。かといって、渋谷系のような洒落っ気みたいなものも一切なくて、わりと生活によりそった音楽をつくっている、
確信犯的なものなんですかね。
あんまりそういう感じはしませんけどね。じたばたしてるサニーデイサービスみたいな(笑)。
さらに売れまくって、山口(隆)くんがグラビアアイドルと交際発覚! とかにならないかな。
変わったらおもしろいですよね(笑)。サンボ現象がどこまで行くのか見てみたいし。今や「はねるのトびら」のコントになってるくらいですからね。